TOEIC英単語 語源調査ノート

英単語の中から気になるものをピックアップし、語源を調べてみようと思います。特にTOEICによく出る単語を中心に……

2009年2月22日日曜日

influence 【名】 影響,作用

in- (中へ) + -flu (流れる) + -ence 接尾辞

日本語で「影響」というと、"effect" という単語を思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、"effect" が何かの影響を受けたあとの「効果」に着目しているのに対し、"influence" は他のものに影響を与えている「力」のほうに着目している。

「中へ」という意味の "in-" と、「流れる」という意味の "-flu" の後ろに、名詞を作る接尾辞 "-ence" がついて「中に流れるもの」という意味になっている。

「影響」とは上っ面の変化ではなく、その中に深く流れ込んで、内部から変化させるものである。「あのロック歌手に影響を受けて……」といって、見た目の髪型や服装だけを真似しているのは、本当は影響を受けていないのかもしれない。

単語: influence

influenza 【名】 インフルエンザ

中世ラテン語 influentia(影響する)

流行病(はやりやまい)は星の影響によると考えられていたことから、「影響する」という意味の中世ラテン語 "influentia" から、"influenza" という名前がついたようだ。

確かに、冬場に突然流行するインフルエンザは、星の位置に影響されているといってもあながち間違いではない。星占いや魔術的なものと結び付けるまでもなく、今でも「インフルエンザの季節になる」という表現は使っている。その季節になるということは、そういう星の配置になるということである。

特に現代の日本人は、「星の影響」などというと、占星術の謎めいた感じを思い浮かべ、「昔の人は、星の影響だなんて迷信を信じていたんだ」と思いがちである。しかし、中世ヨーロッパの人々は、暦を知るために星の配置を見ていたのだから、その時代の言葉で「流行病の星の配置になった」というのは、ごく自然な表現であったのだろう。インフルエンザとは、まさに星の影響により流行する病気である。

"influence" の語源が「流れ込むもの」という意味であるので、こちらもウィルスが流れ込んでくる感じから来たものかと思ったが、どうもそうではないようだ。

単語: influenza, influence

2008年10月25日土曜日

despite 【前】 ……にもかかわらず

ラテン語 despectus (despise:見下す の過去分詞)

受験英語では「……にもかかわらず」といえば、"in spite of" なのだが、TOEICでは突然 "despite" という単語が現れる。少しお堅い言い回しになるので、ビジネス英語には必須というわけだ。

受験慣れ(馴れ)した方ならば "despite = in spite of" と丸暗記してしまえば、別段どうということのない話なのだが、少し突っ込んでいくと両者の関係は意外に複雑だ。

"Despite his importance, Mr. Smith is very friendly."
(スミス氏は、地位が高いにも関わらず、とても親しみやすい。)

など、現代では良い意味でも使われることが多い前置詞であるが、本来の意味を考えると、このような使い方は微妙な嫌味を含んだニュアンスになる。

"despite" は、今ではあまり使われないが、そもそも名詞としてつかうと「侮辱、軽蔑、悪意」などの意味がある。どうやら当初は、"in despite of" (……の侮辱・悪意の中にあっても) というイデオムで使っていたようだ。

つまり、「こんな最悪な状態に追い込まれているにもかかわらずやりぬく」という、周りの悪意に耐えて乗り越えようとしている状態を表していたようだ。

そして、"in despite of" の省略形として、"despite" のみで、「……にもかかわらず」という意味で使われ始める。

"despite" という一つの単語の中に、【前】「……にもかかわらず」と、【名】「悪意」というあまりにも異なった意味が混在するのは不自然だったのだろう。「……にもかかわらず」という前向きな意味で使われ始めた "despite" から「悪意」などの悪い意味は外され、代わりに頭音消失した "spite" を使うようになる。つまり、もともとの "despite" は、本来の意味をなくしてしまい、代わりに "spite" が使われるようになるのだ。

さらに、"spite" も、古い "despite" のときと同じルールで "in spite of" として、「……にもかかわらず」という意味で使われるようになった。したがって、同じ意味で "despite" と "in spite of" が使われるようになった。

そう考えれば、古い "despite" が、少々お堅い言い回しで、"in spite of" が後発の現代的な言い回しであるというのもなんとなく理解できる。

単語: despite, spite

2008年7月4日金曜日

stick 【名】 ステッキ, 杖

古英語 sticca (刺すもの)

"staff" の語源が古英語の杖だったので、当然、"stick" と、語源を同じくするものと思い込んでいたら、「刺すもの」と言う意味の "sticca" が語源のようだ。

他にも杖の意味をもつ単語に "cane", "crook", "wand" などがあるが、どれも語源は "staff" とは違う。

単語: stick, cane, crook, wand

2008年7月3日木曜日

staff 【名】 職員, スタッフ

古英語 stæf (杖, 支えになるもの)

最近、テレビを見ているとこの単語をよく耳にする。耳にする頻度でいうと、"goo" に匹敵するのではないかと思われる。声高らかに「スタッフゥーーー!」と叫ぶのは、マセキ芸能所属のお笑いタレント、狩野英孝氏の持ちネタである。ちなみに、突然、ギョロ目をひん剥いて、下唇を不自然なほどに突き出し、片手の親指を突き出しながら「グゥ~!」と言うのは、吉本興業所属のお笑いタレント、エド・はるみ氏の持ちネタである。

さて、"staff" という単語だが、古英語で「杖」という意味の "stæf" の、「支えになるもの」という意味が転じて、「職員」という意味になっている。

しかし、スタッフが支えているものは何なのだろう?会社であろうか、雇用主であろうか。「杖」というニュアンスから、雇用主に好きなように振り回され、自らをすり減らしながら雇用主を支え、ポキリと折れた瞬間に捨てられる様を連想したのは私だけだろうか。

単語: staff, goo