英単語の中から気になるものをピックアップし、語源を調べてみようと思います。特にTOEICによく出る単語を中心に……

2008年2月29日金曜日

document 【名】 文書,ドキュメント

doc- 教える + -ment 名詞化接尾辞

最近は、ほとんど外来語として日本語化したのではないかと思われるほど、日本語の会話の中で普通に使われる単語 "document" 。特にビジネス用語としては、普段の会話に当たり前のように「ドキュメント」というカタカナ語で登場する。語源は「教える」と言う意味の "doc-" が語幹となり、動詞や形容詞を名詞化する接尾辞 "-ment" の合成で出来ている。つまり、文章とは「教えるもの」というわけだ。「ジーニアス英和大辞典」(大修館書店)によると、英語として使われ始めたのは15世紀。名詞のほかに「…を記録する」とか「…に(証拠などの)文章を添付する」という意味の動詞使われることもあるが、これは18世紀以降の用法で比較的新しい。

「語源中心英単語辞典」(南雲堂)によると、"doc-" は、ラテン語の "docere" (= to teach) に由来している。"teach" というと、日本語の「教える」と同じように、学校の先生が生徒に教えるとか、師匠が弟子に教えるというような、上から下へという流れが強いように感じる。「ロングマン現代英英辞典」(桐原書店)で "teach" の項を見ると、いわゆる「教える」と言う意味のほかに、"to show (someone) the bad results of doing something, so that they will not do again" (失敗を繰り返さない為に、悪い結果を示す)というような、教室で先生が失敗したときにする言い訳のような説明も載っているが、やはり「教えてやる」というような上から目線は外せない。

しかし、この "doc-" は日本語で考えるならば、「伝える」とか「知らせる」というようなニュアンスを含めているように思う。そう考えると、"document" のイメージとピッタリと合ってくるのだ。テレビやラジオなどの情報を伝える媒体が全くなかった15世紀、紙に書かれた "document" こそが、誰かに情報を「教える」、「伝える」、「知らせる」手段だったというわけだ。

テレビやラジオという新しい情報媒体が生まれたにも関わらず、紙に書かれた "document" はしぶとく生き残り、コンピュータの登場により電子化された "document" として、今やインターネットを通じてテレビやラジオを凌駕しようとしているところがおもしろい。

単語: document

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