英単語の中から気になるものをピックアップし、語源を調べてみようと思います。特にTOEICによく出る単語を中心に……

2008年3月8日土曜日

advise 【動】 忠告する,助言する

ラテン語 advisare (たびたび見る)

TOEICでは "advice" と混同させるためによく出題される "advise" である。"advice" はアドバイスそのものを指す名詞、"advise" は「忠告する」という動詞だ。

語源は「たびたび見る」と言う意味のラテン語。的確な助言を与えるためにはよく見なけらばならないということか。つまり、普段からよく気にかけているということなのだろう。確かに、普段あまり会わない人から突然アドバイスされてもピンとこないものだ。

ちなみに、アドバイザーは「アドバイスする - 人」だから、動詞の"advise" に、人を表す接尾辞 "-er" を付けて、"adviser" となる。また、同じく人を表す接尾辞 "-or" を用いた "advisor" も同じ意味だが、こちらは主にアメリカで使われているようだ。

単語: advise, advice, adviser,advisor

2008年3月4日火曜日

beside 【前】 …のそばに

古英語 bi sīdan (by side)

"besides" の基になった "beside" の語源は極めて単純だ。古英語で「そばに」という意味の記述が現代語になりつつ、音にあわせて変化しながら合成された。つまり、"beside" という単語を作ったほうがいいくらい "by" と "side" はセットで使われたのだろう。

単語: beside

2008年3月3日月曜日

besides 【前】 …のほかに,…以外に

beside + -s 副詞語尾

「…のそばに」という意味の前置詞 "beside" の最後に、"s" が付いただけで意味が変わってしまっている。TOEICの文法問題でこの2つが選択肢になることも多い。混乱しやすい単語だが、どうやら、もともとは "beside" だけで両方の意味に使われていたようだ。

前置詞 "beside" には、もともと「…のそばに」という意味と「…のほかに」という意味の両方が含まれていた。この前置詞を副詞として使うために "besides" という単語が生まれた。

副詞として使う場合、「…のそばに」とう意味よりも「…のほかに」の意味で使うことが圧倒的に多かったのだろう。いつしか、"besides" は、"beside" から分かれて、「…ほかに」の意味で使われるようになり、さらに副詞の "besides" から、前置詞の "besides" が派生し、"beside" 「…のそばに」と、使い分けられるようになったらしい。

確かに、日本語で考えても「AのそばにBがある」ということは「Aがあって、AのほかにBある」ということだと取れなくもない。ただ、状況は同じでも、伝えたい内容には大きな隔たりがあり、これらを同じ単語で伝えるのは日本語で考えている限り、かなり難しい。日本語で考えて難しいものは、英語で考えても難しいということだろうか。結局、別の単語が割り振られることになってしまったというわけだ。

単語: besides, beside

2008年3月1日土曜日

teach 【動】 教える

古英語 tæcan(指し示す,明らかにする)

"document" の項で少し取り上げた "teach" 、語源を見てみると、やはり「指し示す」「明らかにする」などの意味を示す古英語から変化したものであった。"teach" とは、わからないことや隠れていることを指し示して見せてやることなのである。「知らせる」というニュアンスは含まれていると考えていいのではないだろうか。"teach" の初出は古く、「ジーニアス英和大辞典」(大修館書店)によると12世紀以前である。

この "teach" に、動詞について「…する人」という名詞を作る接尾辞 "-er" をつけたものが "teacher" 「先生」である。"teacher" の初出は14世紀になる。この200年の差は何なのだろう。察するに、14世紀までは "teach" する専門の人がいなかったので、"teacher" という概念自体が無かったのではないだろうか。

単語: teach, teacher

doctor 【名】 博士,医者,医師

doc- 教える + -or 人を表す接尾辞

"doc-" で始まる単語で思いつくものが "doctor" 。これも、語源を知れば納得する。「教える」に "-or" を付けて人にしているのだ。自らの豊富な知識を「教える人」が "doctor" というわけだ。初出は14世紀。18世紀には「治療する」とか「医者を開業する」という動詞としても使われるようになった。"document" が動詞として使われるようになった時期も18世紀である。18世紀に何かブームがあったのだろうか。

さて、確かに医者は患者を診察し、病状や治療法を教えてくれる。

医者といえば、1996年にアメリカのドラマ「ER緊急救命室(Emergency Room)」がNHKで放送されて話題になった。日本で放送されるぐらいだから当然といえば当然なのだが、本国アメリカでは1994年にNBCで放送が始まってから、かなりのブームを巻き起こしたようで、その後医者や病院を題材にしたドラマが雨後の筍のように現れたと聞く。

「ER」は、原作が映画「ジュラシックパーク(Jurassic Park)」や「ディスクロージャー(Disclosure)」で有名なマイケル・クライトン(Michael John Crichton)の「五人のカルテ(Five Patients)」ということだから、もともと話題性が高かったと思われる。とはいえ、1994年に始まって2008年の今も尚ブームが続いているのだから、よほど内容が面白くないとこうはいかないはずだ。

日本でブームを起こした医者のドラマといえば「白い巨塔」だろう。1963年から1965年まで雑誌「サンデー毎日」に連載された山崎豊子の長編小説が原作だ。

1965年に田宮二郎主演でラジオドラマ化、1966年に田宮二郎主演で映画化、翌年に佐藤慶主演でテレビドラマ化されている。但し、多くの日本人の記憶に残っているのは、その翌年1968年に三度目となる田宮二郎主演でテレビドラマ化された作品ではないだろうか。ドラマの放映が残り2話となっていた1978年12月28日に、主演の田宮二郎が猟銃自殺をしたことで、かなり強烈な印象が残っている。

その後も1990年と2003年に、村上弘明、唐沢寿明の主演で、テレビドラマ化されている。それぞれ放送時はかなりの話題になったが、白い巨塔といえば田宮二郎のイメージは変わらない。

また、1993年に放送された「振り返れば奴がいる」というドラマも医者を主人公にしており、放送時は人気があった。

これら、医者が主人公のドラマが話題になる原因の多くが、一般の患者が普段接することのない医者や病院の裏の世界を垣間見れることにある。単に病気や怪我の症状や治療法を「教える人」ではなく、多忙な医療現場で医療ミスを起こしたり、金や権力にしがみつく医者などを生々しく描いている作品に人気が集中する。14世紀の昔から知っている "doctor" ではなく、20世紀、21世紀の本音の "doctor" を見たいということだろうか。

ちなみに、学位としての「博士号」は「…の職務」という意味を表す接尾辞 "-ate" が付いた "doctorate" である。博士号を取得している人を指して、「彼はドクターだよ」というのは正しいが、「彼はドクターを持っているらしいよ」などと言うのは厳密には間違っている。ましてや英語で、"He has a doctor." などと言ってしまってはいけない。お医者さんを持ち上げているか、お抱え医師でも雇っているかのような表現になってしまう。もちろん、相手の方が話の流れで察してくれるだろうとは思うが。

単語: doctor, doctorate